webサイトユーザー特有の購買行動はあるのか? – webマーケターの考えごと
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webサイトユーザー特有の購買行動はあるのか?

社内でwebマーケティングが専門でない方とお話しするとき、たまに「CTAまでのスクロールを長くするとCVRが下がったりしませんか?」といった質問を受けます。こういった質問の背景には、webサイトユーザー特有の購買行動があるのではないかという考えが無意識レベルにありそうな気がしますが、本当にそんなものはあるのでしょうか?

結論、私はwebサイトユーザー特有の購買行動はないと思っています。なので、「CTAまでのスクロールを長くするとCVRが下がったりしませんか?」について答えるならば、ケースバイケースだとしか言えません。CTAまでに適切な情報を置くのなら多少長くなってもCVRが上がることもありますし、不要な情報をダラダラ並べているのなら当然ながらCVRが下がります。

webサイトは、コミュニケーション手段のひとつ

webサイト制作に専門知識が必要だからなのか、webマーケがやたらと専門領域だと思われている節がありますが、その本質は人と人とのコミュニケーションです。あなたがある商品やサービスをwebを通じて売りたいなら、webサイトを使ってお客さんとどういうコミュニケーションするべきか、ということです。本題に戻ると、webサイトユーザー特有の行動様式があるのではなく、webサイトというコミュニケーション手段特有の情報の伝わり方があるのだと考えています。これについては、webサイトが非同期コミュニケーションだということに注目するとわかりやすいと思います。

同期コミュニケーションは、対面での会話や電話、オンライン会議などです。非同期コミュニケーションとは、メールやチャットツール、手紙などで、パンフレットも非同期コミュニケーションといえるでしょう。

非同期コミュニケーションの難しさ

ここで突然ですが、チャットツールで100人の同僚に向けて何かしらの投稿をしたとイメージしてください。そのうち10人から「いいね!」のスタンプをもらったとします。あなたの投稿が10人の心を動かしました!嬉しいことですね。しかし、その投稿に別の情報を追加していたら別の15人から「いいね!」をもらえたかもしれませんし、反対に、ウケを狙いすぎて滑り散らかしていたら仲の良い2、3人だけからしか「いいね!」をもらえなかったかもしれません。

上記の「投稿」をwebページ、「スタンプ」をCVと読み替えると、そのままwebサイトを介したコミュニケーションになります。非同期コミュニケーションで難しいのは、相手の顔が見えず、誰から反応がもらえるかを想像しながら内容を考えていくところにあると思います。webサイトの場合は100人の同僚ではなく、見ず知らずの1000人、10000人に向けたコミュニケーションなので、その分難しさは増しますが、やっていることはチャットツールと変わりません。

相手にとってわかりやすく、がコミュニケーションの基本

そして、これは同期・非同期関係なくコミュニケーション全般に言えることですが、相手にとってわかりやすく伝えるのがwebサイトでも基本です。わかりやすく、というのは相手の前提知識や興味関心などによって変わります。結論ファーストのほうがいい相手もいれば、経緯をはじめから説明したほうがいい相手もいるわけです。同じ人でも、詳しい分野なら結論だけ簡潔に聞きたいとか、はじめての分野なら詳しく説明が欲しいとか、置かれた状況で変わってきます。同期コミュニケーションなら、相手の反応をみて情報を取捨選択したり伝える順番を調整したりできますが、非同期コミュニケーションではそうはいきません。

webサイト=日本中、世界中の人との非同期コミュニケーション

webサイトを使ったコミュニケーションでは、前提知識や興味関心が異なる1000人や10000人の人達に非同期で情報を届けているといえます。そして、webページにどんな情報をどの順番で載せるかによって、ある人には情報が伝わりやすく、別の人には伝わりにくくなります。そういった個々人への情報の伝わり方によって、最終的にCVする/しないという結果につながります。それらをすべてカウントしたときに、CVRが上がる/下がるという話になります。「CTAまでのスクロールを長くする」と、載せた情報の内容次第で、ある人は最終的にCVしますが、別の人はCVしなくなります。その総計としてCVRが上がったり下がったりします。

ということで、webマーケターは「このページを見ているのはどんな人が多くて、どんな情報を求めているのだろう?」を日々考えたり分析したりしています。そして、情報を足したり引いたり入れ替えたりするのを大層に「施策」と呼んで笑、PDCAを回しているわけです。

おまけ:スクロール率の話

「ページの下に行けば行くほど(スクロール率が高まるほど)離脱する人が増えるから、CTAをファーストビューに置けばいいのでは」といった話がよくありますが、それは早計です。CTAを申込みボタンと思わずに、「あなたはこのアクションをするべきです」という提案だと考えてみてください。なぜそのアクションをするべきなのか、根拠がないままに決断できますか?という話です。根拠となる適切な情報のあとにCTAというアクション提案をするのが自然ではないでしょうか。もちろん、必要な情報がほとんど無いならCTAはファーストビューにあってもいいでしょうが、それはあくまで結果的にそうなっているに過ぎません。

 

本日は、webサイトユーザー特有の購買行動はあるのか?についてでした。お疲れ様でした。


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