前回記事①からの続きです。②では、データ分析の4つの手順のうち、1つ目の解説の続きと、残りの2~4についてみていきます。
1. 分析の⽬的を確認する(続き)
前回の記事では例として、「⼀⼈ひとりのユーザーに対して、最適な情報を提供してCV※数を最⼤化したい」という理想を実現するために、以下の仮説を立てていきました。
- ユーザーによっては、求めている情報にwebサイト内でたどり着けていないのではないか?
- ユーザーによって、webサイト内で求めている情報にはバラツキがあるのではないか?
- ユーザーは、webサイト内で求めている情報をひと通り⾒れば、CVしやすいのではないか?
- ユーザーの属性やwebサイトの閲覧状況から、どのような情報をどのタイミングで提供するべきかを判断できるのではないか?
- ⼀⼈ひとりのユーザーの⾏動を⾒ていくと、「CVしそうな⼈」とそうでない⼈の⾒分けがつくのではないか?
- 「CVしそうな⼈」の背中押しをするように情報提供するほうが、そうでない⼈に情報提供するよりもCVにつながるのではないか?
※CV(コンバージョン)とは、商品購⼊やメアド登録、資料請求、イベント申込などwebサイト上でユーザーにしてもらいたいアクションのことを指します
そして、次は検証したい仮説を定めます。これが「⽬的」となります。
上記の中では、「ユーザーは、求めている情報をひと通り⾒れば、CVしやすいのではないか?」が本当かどうかで、⼤きく話が変わってきそうです。
この仮説が本当であれば、「⼀⼈ひとりのユーザーに対して、最適な情報を提供してCV数を最⼤化したい」という理想には、何らかの⽅法で近づいていけそうです(例:CVした⼈が⾒ていたページを、CVしていない⼈に案内する)。
しかし、この仮説が本当でないならば、webサイト上で施策を打ってもなかなか効果が出なさそうです。「どのページを⾒たユーザーがCVしやすいか」がわからないので、勘と経験に基づいて提供する情報を決めるしかないからです。
「ユーザーは、求めている情報をひと通り⾒れば、CVしやすいのではないか?」という仮説について考えると、次のように整理できます。
- どの程度のユーザーについて、閲覧ページとCVに関連性があるのか?
- 例えば、50%のユーザーについて関連性があれば、webサイト上の施策で最⼤50%のユーザーのCVRに影響できる
他の仮説についても同様に考えれば、検証する仮説の優先度が決まるので、順番に検証していくことで効率的に成果を出す(理想に近づく)ことができます。
2. 分析をする
⽬的(検証する仮説)が定まったので、ここからはその⽬的に応じたデータを⾒ていきます。
例えば「ユーザーは、求めている情報をひと通り⾒れば、CVしやすいのではないか?」という仮説は、さきほど「どの程度のユーザーについて、閲覧ページとCVに関連性があるのか?」と⾔い換えました。
これについて検証するには、まずは閲覧ページごとのCVRを⾒てみるとよさそうです。あとは、CVしたユーザーとCVしていないユーザーの閲覧ページに違いがあるのか、についても⾒てみると何か発⾒があるかもしれません。
分析するデータを決めるうえで重要なのは、⾒たいデータが⼿元にあるかどうかで判断しない、ということです。⾒たいデータがそろっていればそのまま分析すればいいのですが、現実には⾒たいデータが完全に揃っていることはほとんどありません。
今ないデータは、必要に応じて取りに⾏かない限り⼿に⼊りません。⾃分で取りに⾏ってもいいですし、よくわからなければデータ計測の担当者に依頼してもいいでしょう。
「1. 分析の⽬的を確認する」をしっかりしていれば、計測ツール(Google Analyticsなど)の仕様に詳しくなくても、担当者には「やりたいことベース」で伝えられるので齟齬が起きません。
以上のように、必要なデータは積極的に取りに⾏くとして、それらが出そろうのを待っている間に⼿元のデータで分析をする、という順序が望ましいです。そうしないと、いつの間にか「それはデータがないからわからないですねぇ」ということだらけになって、⾝動きが取れなくなります。
「データなんてないのが当たり前」くらいの感覚でいれば、いま⼿元にデータがなくても⼼が折れず、淡々と計測を開始して、数か⽉後にはやりたかった分析ができるはずです。データ分析というと理性的な響きがありますが、意外と⼼持ちによって成果が変わる分野かもしれません。
3. 施策を考える・実⾏する
ここまでくると、あまり⾔うことがないのですが…
気をつけるべきポイントとしては、以下ぐらいでしょうか。
- どういった仮説に基づいた施策なのか、を⾔語化しておく
- その施策の確度を予想しておく(筋のよい施策だから8割⽅良い成果が出るだろう、とか)
この2つによって、検証の精度が変わってきます。
4. 結果を検証する
施策の結果が出たら、「3. 施策を考える・実⾏する」での予想と⽐べてどうだったのかをみます。確度が⾼いのに効果が出なかったり、反対に確度が低いのに効果が出た場合は要注意かつラッキーです。
分析や仮説⽴ての段階で⾒落としがあったり、データの精度が悪かったり、といった前⼯程が良くなかった可能性があるため、前工程を見直すことで仮説の精度が上がります。
予想と異なるデータだ出ても落ちこむ必要はありません。仮説の精度が上がってラッキー!と思って次に生かしましょう。
ここで、新たな分析ができるようになったり、他のデータが必要になったりすることも多いので、「1. 分析の⽬的を確認する」に戻ったり、⽬的が変わらなければ「2. 分析をする」に戻ったりして、サイクルを回して理想へとじりじり近づいていきます。
以上、データ分析について「ここを押さえないとまずい」ポイントをご紹介しました。お疲れ様でした。
データ分析の⼿順については以下のサイトを⼀部参照しましたので、ご共有まで。
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