web施策をコストで終わらせないための、効果検証の作法 - webマーケターの考えごと

web施策をコストで終わらせないための、効果検証の作法

webサイトの更新やコンテンツ追加などの施策を行った際、「頑張って施策を実施したのに、結局これって意味あったの?」と思ったことはありませんか?

その原因の多くは、効果検証のやり方にあります。そこで、効果検証の作法についてまとめてみました。

web施策の目的を明確にする

データ分析の記事にも書いているのですが、web施策の効果を検証する際に「とりあえず計測ツールで数字をみてみよう」と考えるのは非効率です。目的が定まらないまま数字をみても、どう解釈すればいいのかわからないためです。

まずはやってみる精神は素晴らしいので、徒労に終わらせず、ちゃんと成果につなげたいですよね。

そのためにはweb施策の目的を明確にして、目的に沿った効果計測をしましょう。

💡私のおすすめは、以下のように施策の短期目的と、長期目的を考えておくことです。

  • 短期目的:売上・利益に直結する指標の向上(商品購入、問い合わせの増加や、サイト回遊の増加、離脱率低下など)
  • 長期目的:顧客理解が深まること(どんな顧客がいるか、その顧客は何に関心があるか、など)

こうすることで、たとえ施策自体の成果(短期目的)が悪かったとしても、顧客理解が深まれば(長期目的)、次回の施策に生かして成功確率を高められます。一定の成果が得られたといえますね。

顧客理解を深めるため、施策を実施する際には仮説をしっかり立てて、その仮説があっているのか数字を見て確かめましょう。例えば、

「○○という顧客を想定して、××のメッセージを出せば△△の理由で商品購入が増えるのでは?」

といった形で、後で答え合わせができる状態にしておくのです。

短期目的だけを追う効果検証はギャンブルと同じで、「当たればうれしい」「外れたら落ち込む」となります。(外れた場合はなかったことにされるケースも、非常に多いですね…)

顧客理解が浅いままに短期目的だけを追って施策を試しても、失敗する確率が高いままです。その結果、成果はあまり出ないのにどんどん疲弊していくという負のスパイラルに陥る危険性があります。

具体的な効果計測の方法

大体こういう記事を書くときは「目的が大事!」みたいな抽象的な話から始まってしまうので、そろそろ具体的なところに進みます。

例として、ある商品・サービスを販売する事業会社における、web施策(既存コンテンツ改善や新規コンテンツ制作)の際に効果計測する際の考え方を紹介します。

施策単体の効果計測をしても「これって結局売り上げ・利益につながっている?」と疑問が残る結果になりがちです。例えば、新規ページを作ったので流入数やページビュー数を確認しているが、商品の購入につながっているのかがよくわからない、という場面です。

このような「悲しいあるある」を避けるためには、以下のようにユーザーの購入検討の流れをしっかりイメージします。実際に書き起こしてみるほうが、チーム内で共通認識を得られるので良いと思います。

webサイト流入→主要ページ回遊→商品ページ閲覧→購入手続き(カート・フォームなど)→購入

「主要ページ」とは、ユーザーが商品購入の判断材料としてよく参照するページのことです。主に商品ラインナップ紹介、ブランド紹介、会社紹介、よくある質問、といったページです。

💡購入検討のステップ同士の因果関係を定量的に把握することで、適切な計測指標の設定ができます。

以下のように、ユーザーが購入検討のステップを進む率(%)を出して、因果関係がわかるようにしておきましょう。

  • ①webサイト流入→主要ページ回遊:あるチャネルからの流入が、どれだけ主要ページ回遊につながっているか?
  • ②主要ページ回遊→商品ページ閲覧:どのページが商品ページ閲覧につながっているか?(主要ページの把握と、主要ページから商品ページ閲覧への遷移率の把握)
  • ③商品ページ閲覧→購入手続き:どれだけのユーザーが商品購入手続きに進んでいるか?
  • ④購入手続き→購入:どれだけのユーザーが手続き途中で離脱したか?(いわゆるかご落ち率)

このように流入→購入に至るメカニズムをおさえると、各ステップで購入につながる指標を適切に計測できるようになります

①では「主要ページ回遊につながる流入数」を測ると、購入につながる流入を把握できます。

②では「主要ページから商品ページへの遷移数(あるいは遷移率)」を測るべきです。細かな分析をしないのならば、簡易的に「主要ページ経由のCVR」とするのもありですが、「CVR」は②③④のステップをまたいだ指標だとわかった上で使いましょう。

③では「購入手続きへの遷移率」、④では「かご落ち率」を測ればよく、余裕があれば流入経路ごと、経由したページごとの指標を出すと、より詳細な効果検証ができます。

リアルとつなげて考える

最後に、特に「普段はリアルな顧客接点のある仕事をしており、たまにweb施策に携わる」人にお伝えしたい考え方があります。

💡それは、web施策をリアルな顧客接点とつなげて考える、ということです。

例えば、年に数回だけweb施策に携わる場合、その数回の施策で売上・利益向上の成果を出すのは至難の業です。

それであれば、リアルでの顧客接点に生かせる示唆を得ることを長期目的として、数回の施策に取り組む方が建設的ではないでしょうか。(もちろん、web施策での成果が出るに越したことはありません。)

webにしろリアルにしろ、顧客とのコミュニケーションを日々改善することで成果へとつなげていきたいですね。

 

以上、web施策の効果検証について土台となる考え方をご紹介しました。お疲れ様でした。


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