「AIDMA」などの消費行動モデルは、どのように活用するべきか?

マーケティングに携わっている方、勉強されている方であれば、多くの人がAIDMAやAISASといった用語を目にしたことがあるのではないでしょうか?

これらは「消費行動モデル(購買行動モデル)」というもので、本来は複雑な「人々が商品・サービスの購買に至るまでの過程」を、端的にわかりやすくとらえたものです。

この記事では、消費行動モデルを活用する場合、どのようにするとよいのかをまとめます。(それぞれのモデルの細かい説明は省きます。)

AIDMAとAISASは、現代に適用できるのか?

AIDMA:そのまま現代に適用するのは難しい

💡実は、AIDMAは100年以上前に提唱された概念です。

AIDMAは、販売・広告の実務書の著作者であったサミュエル・ローランド・ホールが、1924年に著した『Retail Advertising and Selling』内で示したとのことです。(出典:wikipedia

その原型は、1898年にセント・E・ルイスが発表した「AIDA」モデルであり(出典:英語版wikipedia)、英語版wikipediaにはAIDAは載っていますが、AIDMAは載っていません。

おそらく、アメリカではAIDAモデルは古典的な位置づけであり、AIDMAを含む派生形について細かく整理はされていないのでしょう。

そして、日本でのみAIDMAが普及しているのは、1960年代頃から広告業界に持ち込まれ、書籍や研修を通じて広まったからのようです。

歴史的背景はこのあたりにとどめるとして、以上よりAIDMAは、下記2点の理由によって、そこまで信用に足るものではないようです。

  • 100年以上前のアメリカで提唱されたものであり、現代の日本にはそのまま適用できない可能性が高い
  • 学術的な裏付けがあるわけではない(提唱したホールはおそらく広告の実務家)

AIDMAは日本のマーケティング業界においては「古典的な共通言語」としては使う余地があるかもしれません。ただ、使う際には、現代に合うようにアレンジするほうがよさそうです。

AISAS:現代にも結構適用できそう

AISASは電通が2004年に提唱した消費行動モデルであり、「それまで使われていたAIDMAに変わる消費行動モデル」とのことです。(出典:電通報

AIDMAと比較した際に特徴的なのは、検索(S)→購入(A)→共有(S)と、購入前後の行動が現代にみられるものに差し替わっていることです。(なお、AIDMAと同様に学術的な裏付けはありません)

初代iPhoneが2007年発表ですので、当時はPCを主体としたインターネットが発展してきていたとはいえ、「検索」と「共有」を入れるのはかなり先見性があったのではないでしょうか。

情報技術の発展によって、ますます検索や共有がしやすい社会になっているため、AISASは現代でもかなり通用するモデルだといえます。

何のために消費行動モデルを使うのか?

💡複雑な消費行動を分かりやすくとらえ、効率的に施策を実施するためにモデルを活用しましょう。

消費行動モデルは、人々の購買までのプロセスを構造的に理解するために、実務的背景から生まれたツールです。

モデルはあくまでも仮説に過ぎないことに留意しつつ、施策を展開するにあたっての「地図」として活用すると効果的です。

例えばAISASをもとに施策を考える場合、以下のように考えると効率的に施策を実施できます。

認知(A)→興味(I)→検索(S)→購入(A)→共有(S)のうち、
「認知」は取れているが商品の価値がうまく伝わっておらず「興味」を喚起できていない。まずは広告のメッセージを見直し興味喚起につなげよう。
それによって「検索」が増加した段階で、「購入」までの導線改善に注力しよう。
また、購入後の満足度や口コミといった「共有」に関する項目はアンケート調査して現状を把握しよう。

上記のように考えることで、以下の効用が得られます。

  • 全体を俯瞰して、自社の課題箇所がわかる
  • 課題に沿って、施策の優先順位を付けられる(施策の無駄打ちを防げる)
  • ストーリーとして他者に伝えやすく、チームで取り組む際の共通言語になる

なお、既存のモデルに学術的な根拠があるわけでもないので、自社にとって使いやすくアレンジするのはまったく問題ありません。

例えば、私が携わっている事業では、認知→想起→検索→購入の4段階くらいが考えやすく、購入の後工程で共有を入れてもよいかな、という感覚です。

人々は、あなたの商品を買うために行動しているわけではない

消費行動モデルを活用する際には、モデルに示された通りに実際の人々が動いているわけではない点に注意しましょう。

💡消費行動モデルは、事業者側の視点に寄ったものだと理解したうえで使いましょう。

「消費行動」という名付けのわりに、これらのモデルが実際にしていることは「事業者側から見た接点の理解」です。

消費者(あるいは生活者)視点に立てば、ある商品・サービスとの接点は生活の一部でしかありません。

消費者(生活者)の複雑な行動をよりリアルに理解しようとするには、例えばカスタマージャーニーマップや、デプスインタビューといった手法があります。

これらのツールは使い分けが重要であり、以下のように整理するとわかりやすいでしょう。

  • 戦略設計(事業者視点):消費行動モデル、STP-4Pなど
  • 戦術立案(消費者視点):カスタマージャーニーマップ、デプスインタビューなど

戦略設計の段階では全体をとらえたいので具体的すぎる要素は省いて考え、戦術立案・実施の際にはなるべくリアルに沿って考える、ということですね。

以上、消費行動モデルは戦略設計において、施策を効率的に展開するための地図として使うとよい、という話でした。お疲れ様でした。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です