人と人のコミュニケーションで、「伝えたいことと違う形で受け取られた…」ということはしばしばあると思います。
webサイトでは、そんな誤解が日常茶飯事で起こっています。その原因のひとつが、ボタンやタブ、ナビゲーションメニューといった機能性を持つパーツにあると思います。
それらを単なる機能と捉えず、ボタンやタブにもメッセージが含まれると捉えるほうが、誤解を避けて伝えたいことをユーザーに伝えられるのではないでしょうか。
ボタンやタブを、論理的な文脈のひとつと捉えて設置する
webページ(あるいはwebサイト)も、人と人とのコミュニケーション手段のひとつです。
ページ構成の考え方は、プレゼン資料とほぼ同じだと思います。何を伝えたいのか?を素直に考えればよいのです。
プレゼンを聞く人はちゃんと前から見てくれる人、パラパラと流し見する人、後ろから開いて確認する人などさまざまです。しかし、基本的には、プレゼン資料は前から見られることを前提に、伝えたい結論に向けて論理的に構成するはずです。
ボタンやタブも論理的な構成の一部として考えると、誤解なくコミュニケーションができ、ユーザーにアクション(CV)してもらいやすくなります。
ボタン・タブ設置の具体例
ここから、具体例を2つ挙げて説明します。
◆具体例1:商品の購入ボタンをページ内のどこに置くか?
まずは、そのページを見るユーザーが、商品を買うにあたって必要と思われる情報を提供します。
その上で、文脈に沿って「この商品は〇〇というメリットがあるので、購入しませんか?」と自然につながる場所に購入ボタンを置きましょう。
文脈に沿ったアクション提案として、購入ボタンを置けば良いのです。どこに何個置くかは、文脈次第です。
たとえば、情報をしっかり読んで購入を決めるユーザーが多いのに、ページの最上部にボタンを置いたら、違和感を持たれるかもしれません。逆に、事前に情報を得てからサイトに来訪するユーザーが多い場合は上部に配置するのもありでしょう。
「どこに置くか?」よりも、「ユーザーの購買プロセスに合ったタイミングで提案できているか?」を意識するほうが、誤解なく伝わるのです。
◆具体例2:タブ形式で情報を切り替える場合、どのように見せるか?
タブ形式は情報がスッキリ整理されますし、ユーザーにとってもなじみがあって使いやすいでしょう。
ただし、タブを採用すると必ず「どのタブを最初に表示するか?」が問題になります。
ユーザーは最初に表示しているタブをメイン情報と(無意識レベルかもしれませんが)捉え、それ以外は優先度が低いと感じます。
このメッセージが商品の購入検討に影響しないと思われる場合もありますが、影響すると思われる場合は、タブの順番をどうするか?そもそもタブ形式を採用するか?をしっかり考えましょう。
まずは「誤解を生んでいるかも?」と意識するところから
webサイト上のコミュニケーションは顔が見えないため、誤解が生まれやすいです。
特に、ボタンやタブといった機能性がある要素は誤解を生みやすく、しかもwebサイトの制作者が「誤解を生んでいる」と気付きづらいところでもあります。
それは、サイト回遊の導線を設けたい、情報を整理してみせたい、などの必要があって設置されるものだからです。
ここで、webサイトの構成要素を以下の4つに分けてみます。
- コンテンツ:伝えたい内容。テキスト、写真、動画など
- レイアウト:コンテンツをどの順番で伝えるか
- デザイン:コンテンツをどう見せるか(印象付け、見え方の強弱など)
- 機能:操作性に関わるもの。ボタン、タブ、ナビゲーションなど
機能的な要素は、コンテンツ、レイアウト、デザインに付随して検討されることがほとんどです。
(例:伝えたい情報が多いけどスッキリみせたい→タブ表示にしよう!)
つまり、webサイト制作者は「webサイト構成の必要上、機能的な要素を設置する」のに対し、ユーザーは「機能的な要素もコンテンツの一部と捉えている」という点で視点のズレが生じています。
その結果、制作者が気付かないままに、ユーザーの誤解を生んでいるかもしれないのです。
そこで、はじめから「ボタンやタブにも何らかのメッセージ性がある」と意識して設置すれば、ユーザーの誤解を避け、伝えたいことが伝わるのではないでしょうか。これが今回の記事での提案です。
おまけ:「CTA」に振り回されないために
「購入ボタン」や「資料請求ボタン」などを指す言葉として、「CTA(Call To Action, 行動喚起)」というマーケティング用語があります。
ただ、「CTAを適切に配置しよう!」という言い方をすると、まるでWeb特有の「正しい配置ルール」があるかのように錯覚しがちです。その結果、「上部がいい?下部がいい?」「スクロール率何%のところに置くのがいい?」などと、議論がずれてしまうことがあります。
しかし、「CTA」とは単に「購入ボタン」「資料請求ボタン」「問い合わせボタン」のことです。ボタンであれば、上述のように文脈に沿って「ユーザーが自然にアクションできる流れを作ること」が大事、というのが私の考えです。
以上、ボタンやタブといった機能的な要素をユーザー視点で設置しましょう、という話でした。お疲れ様でした。
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