ビジネスにおいてwebサイトによる成果を最大化するためには、ユーザー一人ひとりのwebサイト上での行動をすべて把握して、ユーザーのニーズに応じた情報提供をするのが理想です。
しかし、時間や労力、資金は有限なので、なるべく多くのユーザーに対して適した情報提供をするために、効率的にwebサイトを分析する必要があります。
この記事では、分析にあたって、何をどの程度見ればよいのかについての判断軸をお伝えします。
全体の分析か、個別の分析か?
この記事では、自社商品・サービスを紹介するwebサイトを想定します。webサイトが目指す成果(コンバージョン)は購入、資料請求、問い合わせといったものです。
そして、例えばGoogleアナリティクス(以下GA)でwebサイトを分析するとしましょう。
GAの標準機能では、主に以下のような指標を確認できます。
- 流入経路ごとのユーザー数、コンバージョン数(経路:自然検索、広告、SNSなど)
- 閲覧ページごとのユーザー数、コンバージョン数
- 地域ごとのユーザー数、コンバージョン数
これらの指標はいずれも、サイト全体の状況を表す数値です。
「この経路/ページ/地域のユーザー数は全体の○%」といった構成比がわかり、webサイトの特徴を把握できるので誰しも分析の第一歩はここから始めると思います。
サイト全体の分析は現状把握には有用ですが、全体の平均的な傾向を見ても「どこに、どう手を打つべきか」が特定できません。全体の分析だけでは改善施策(コンテンツ制作や導線見直しなど)にはつながりづらいです。
そこで、個別の分析をすることで、コンバージョンを増やすための施策を考えていきましょう。
個別の分析での理想は、導入にも書いた通り「ユーザー一人ひとりの行動をすべて把握」なのですが、それは現実的には難しいです。
そこで、サイト規模によりますが、同じ特徴を持つユーザー群を何百人~何万人単位でとらえます。
どのwebサイトでも使えるユーザー群のとらえ方として、「同じ閲覧行動をとっているかどうか」があります。
閲覧行動は、例えば以下の指標で確認できます。
- どのページを見ているか(複数ページの組み合わせのほうが望ましい)
- どこから流入してきたか(自然検索、広告、SNSなど)
- 訪問回数、滞在時間はどの程度か
- 過去にコンバージョンしているか
また、閲覧行動以外でも、以下のような切り口でユーザー群をとらえられます。
- ユーザー属性:地域、年齢、年収など
- 会員情報:商品・サービスの使用状況、購入金額など(ログイン機能があるサイトの場合)
- アンケート:回答結果に応じてユーザー群をとらえる
現在は、ユーザー単位の分析が主流
5年ほど前(2020年頃)は、webサイト分析といえば「セッション単位の分析」だったと記憶しているのですが、今ではすっかり「ユーザー単位の分析」が主流になりました。
セッション単位、ユーザー単位の違いは以下の通りです。
- セッション単位の分析:webサイト訪問→ページ閲覧→離脱、という一連の流れ(=セッション)を分析。ユーザーは見分けられない
- ユーザー単位の分析:ユーザーを見分けて、複数セッションをまたいだ行動を分析
上記を見てわかるように、「ユーザー単位の分析」とは「セッション単位の分析」の進化版だと考えて差し支えありません。
ユーザー中心の分析へと移行してきた背景としては、ユーザー行動の複雑化※と、それに対して計測ツール側の進化によって対応できるようになったことがあります。
※スマホ・PCなど複数デバイスを使う、SNS ・ 広告・ 検索など複数経路から流入する、など
今では多くのツールでユーザー単位の分析ができます。
それを前提として、計測ツールを選ぶ際には以下のような観点が重要になります。
- どの程度細かくユーザー行動を追えるのか?
- 自社が持つ他データ(会員情報など)との連携はできるか?
なお、現在でもセッション単位の分析が望ましい場面も一部あります。それは主に、特定の施策の効果検証をしたい場合です。
例えば、ある広告キャンペーンでのサイト流入によってどの程度コンバージョンにつながったのか?を見たい場合は、セッション単位で見たほうがわかりやすかったりします。
施策の成果はどうやって測るのか?
上記では、webサイト改善施策を実施するための仮説立てには「ユーザー単位の分析で、同じ特徴を持つユーザー群を何百人~何万人単位でとらえるとよい」ことをみてきました。
ここでは、施策を実施する際にどのように成果を測るのか、をみていきましょう。
web施策の効果計測には、いわゆるABテストという手法が一般的に用いられます。
以下のように、施策以外の条件をすべてそろえて結果を比較することで、その差分を「施策の効果」とみなします。
- あるページAと、そのページのコンテンツを一部入れ替えたページBを用意し、同期間でページA、Bにユーザーを半分ずつ振り分け→ユーザー群A、Bのコンバージョン差分を比較
- あるページについて、同期間で半分のユーザーにポップアップを表示(パターンA)、もう半分のユーザーに非表示(パターンB)→ユーザー群A、Bのコンバージョン差分を比較
現在は、ABテスト機能を持つツールは安価で使えるものが多くあるので、基本的にはそれらを活用すればよいでしょう。
しかし、もしABテストをする環境が用意できない場合には、「期間を変えての疑似ABテスト」という手があります。文字通り、ある期間に施策を実施し、実施前の期間と比較するということです。
これは「期間」という条件がそろっていないので、理科の実験としてはNGかもしれませんが、webサイト改善の実務的には「仕方なし」といったところです。
もちろん、本格的にwebサイト改善に取り組むのであれば疑似ABテストでは頼りないので、ABテストの環境を整えましょう。
以上、webサイト改善施策を実施して成果を上げるためには、何をどの程度分析すればよいのか?についてまとめました。お疲れ様でした。
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