私は、現職では事業会社でwebディレクターとして働いており、採用時点で専門性をもった人材として迎えてもらっています。しかし、前職は新卒で入ったので、入社時点で専門性も何もありませんでした。前職ではwebサイトやパンフレットをつくる制作会社でプランナーとして働いており、仕事内容は企画と営業が半々という感じでした。3年目くらいに、自分には専門性がないのでは?と焦り、htmlとcssの入門的な内容を勉強していました。そこから5年目までにかけて、progateという学習サービスでJavaScriptに触れてみたり、ウェブ解析士という資格を取ってみたりしてweb制作・運用に関する専門知識を増やしていました。
知識を増やすだけでは専門性を発揮しきれない
では、以前の私は知識を増やすことですぐに専門性を発揮できていたかというと、一朝一夕にはいきませんでした。場数を踏むことでだんだんと「webのプロ」としてみてもらえるようになったと感じています。このことから、専門性の発揮には知識を増やす段階と、それ以降の二段階あるのではないかと考えています。知識を増やす段階では、専門的な知識を得たり経験重ねたりすることによって、デスク上での仕事(企画、調査、分析など)の質が上がります。それ以降はデスク上での仕事の成果をうまく活用し、人(クライアント、上司、他部門の関係者など)を動かすことが重要になってくると感じています。ここはコミュニケーションの話なので、専門知識があるからといってすぐに相手にうまく伝えられるかというと、なかなか難しいでしょう。
専門性を発揮するためのコミュニケーション力とは
コミュニケーションとは広い言葉ですが、専門性に関わるところで重要なコミュニケーション力は「自信をもって言い切る力」と定義してみます。どういうことかというと、専門性をもって仕事をする場合、相手はその専門分野についてよく知らないか経験が少ないため、不安を抱えています。webサイトの制作でいえば、クライアントは自社ではできないから外部委託しており、クライアントの担当者はwebによほど詳しい人でない限り「こういうことがしたいけど、webでできるのかしら」と不安なわけです。そこで、制作会社のプランナーが打合せで「私の理解が正しいかわからず、こういうことでよろしいでしょうか?」とか「会社に持ち帰って確認します。」とかばかり言ってくると、この人に任せて大丈夫なのかと思ってしまいます。(私がいま、事業会社でwebサイト制作やSEOコンサルを外部委託している立場で、委託先の担当者がはっきり答えない方だと実際かなり不安になります。)
断言せずに調べる、確認するというのはやり取りとしては丁寧で、事故を防ぐという意味では良いのでしょうが、プロとして信頼はされないのではないでしょうか。クライアントや仕事相手も人なので、安心させてくれる相手が好ましいはずです。そのため、打合せの場やコンペのプレゼンで「これはこうです」と自信満々に言い切ってしまうというのは、相手から信頼を得るうえで重要なことだと考えています。
例えば、webサイトリニューアルを考えているクライアントに「リニューアルしてもwebサイトの流入数は増加しませんよ」と言い切ってみると、クライアントも「どういうこと?」と引っかかるはずです。そこで、リニューアルでは流入数は増加しない(厳密には、SEO対策をしない限りはリニューアルによって流入数が減少するのが普通である)理由を説明すればいいわけです。その場で言い切るためには、知識や経験の裏打ちが必要不可欠で、裏がないのに何でもかんでも言い切ればよいというわけではないので、その点はご注意ください。
普段から自信をもって言い切ることが大切
では、どれくらい知識や経験があれば言い切れるのでしょうか?それはやってみないことにはわかりません。仕事をする相手や案件によっては絶対に失敗できない場面もあるでしょうから、そういう場ではしっかり確認を取るのも良いと思いますが、リスクを取ってよい場面では積極的に言い切ってみましょう。その後に失敗したら失敗したでそれもまた一つの経験になりますし、対応する過程で知識も増えるでしょう。そうやってある程度場数を踏むことで、ボーダーラインがつかめてくるはずです。制作会社のプランナー(あるいは営業職)であれば、クライアントとの打ち合わせで、要望に対して技術的にできる/できないについてと、ある程度幅を持たせてもいいので見積もりやスケジュールをその場で言い切れないと、この人は経験浅いのかなと思われそうです。
また、普段から言い切れることは言い切っていると、本当に自分ではわからないことを「わかりませんね」と言うことにも信憑性が生まれます。相手が自分の専門性を信頼してくれている場合、わからないといっても「あの〇〇さんがわからないのならしょうがないね」と受け取ってくれるのです。こうなると占めたもので、わからないことは調べて共有すればOKで、調べる過程で自分の知識が増えていきます。相手から無理難題を振られたとしても、それを実現する過程で自分の専門性が深まったり広がったりするので、むしろギフトだと思えます。
以上、専門性について考えてみました。本日もお疲れ様でした。
コメントを残す